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アウトレット家具のチェーン店「ビッグウッド」社長のブログです。
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今日は、「商業界」の創設者の一人でもあり、戦後の商業近代化運動の精神的な牽引車となった新保民八先生のお話をしたいと思います。

新保先生は、「正しきによりて滅びる店あれば滅びてよし、断じて滅びず」と言われ、今も多くの商業者に愛され、尊敬されています。

昭和33年に、新保民八先生が「第3回優良店員ゼミナール」において「青年店員よ大望を抱け」と題した講演で福沢諭吉の「福沢心訓七則」を引用して、商人の使命と素晴らしさを力強くうたい上げていますので、それをご紹介いたします。

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福沢諭吉の「福沢心訓七則」の第5条に「世の中で一番貴い事は、人のために奉仕して決して恩に着せない事です」と謳ってある。

これは商人の生活そのままだ、お客の寂しさを満たす愛の仕事、そんないい仕事をしながら、諸君は、「毎度ありがとうございます」と恩に着せないじゃないか。

商人の仕事こそ、売る事は道徳なり、諸君が売って売って売りまくる事によって、大衆はいいものを安く買える。

しかるに、諸君は品物を丁寧にお届けして、お客を満足させながら、「毎度ありがとうございます」と言う、心をこめて言うその言葉が、世の中で一番貴いことなんだ。

お客に奉仕して、決して恩に着せない。恩に着せないどころか、諸君は「毎度ありがとうございます」と頭を下げる。

その商人の謙遜な姿こそ、私は愛の仕事だと思う。 立派な美しい事だ。

また、第6条で、福沢さんは、「世の中で一番美しい事は、すべてのものに愛情を持つ事だ」と言っている。

全てのお客に愛情を持つが故に、たとえ十円のお客であっても、親切にしてあげる。

言い方はおかしいけれども、一万円のお客は値段に逆行した満足料を払う。

あなた方は、一万円のお客は儲けが一割でも千円入ると思うから、大切にする。

十円のお客は丸々儲かっても十円だと思うから、サービスが悪くなる。けれども十円のお客は恥ずかしそうに「黒砂糖でよろしゅうございます」と言う。そういうお客の方が寂しさは大きいんだ。

一万円のお客はどこでもちやほやされるから、寂しさはそんなに大きくない。

乏しい中から十円の金を二十円にも使いたいという、そういうお客ほど寂しさは大きい。額は小さいが、それを求める瞬間の寂しさは大きいんだ。

だから、寂しさを満足させてやったときの満足料は大きいんだ。満足料が大きく入って来るんだ。そういう事に気が付かんといかん。

十円のお客を一万円のお客より優遇せよという意味ではないが、そういう人こそ、心のこもった、愛情のこもった商売をしなければならんのだ。

世の中で一番美しい事は、全ての人に愛情を持つことだ。だから現金と正札が大事なんだ。

月末にごっそり払ってくれるからと言って、掛売りのお客にはごそっと一割値引きして、そして店先で十円、二十円と買うお客にはつっけんどんな商売をしている。

だから今までの商人はうだつが上がらなかったんだ。 この標準に照らしてみるならば、繁盛する店と衰退していく店とがはっきり分かるじゃないか。

宇品の高植くんという人の店は、全て現金正札だ。毎日現金が入ってくるから、仕入れ先にも現金でちゃんと払っている。

お客を愛するが故に、そのお客に商品を持ってくる問屋さんもかわいい。

開店記念日に酒を一升持って回ったそうだ。「問屋さん、ありがとうございました。あなたのおかげで商売ができるんです。あなたのおかげでお客さんたちを喜ばす事ができました。」

こう言ってお礼に回ったんです。

そうしたら問屋さんの中には涙を流して喜ぶ人がいる。「私は長い間、商売をしておりますけれど、小売店からお酒をもらって感謝されたのは、今日が初めてですよ」と言って涙を流していたそうだ。

彼はまた、お客も大事にしている。酒、味噌、醤油を扱っているから、結婚式だとか、葬式だとか、人間の喜びと悲しみにつけ、余計に売れる。

気をつけていればそれが分かるから、記録しておいて、一年経ったら、お葬式のあった家に出掛けていくんだ。 

そして「今日はお母様のご命日でございますね。お線香を上げさせていただきます」と言って、ちゃんとお参りして来るんだ。

君らはそんな事をしてないだろう、売ったら回収の事ばかり考えているだろう。愛情のある商売をしていないんだ。

現金をもらって一年経ったその日、お線香を上げさせてもらいに来ました、と丁寧に挨拶すると、皆、泣くそうだ。

他人様がよく覚えていてくれた、なんと心の優しい立派なご主人だ、と感激するんだ。

そこに満足料が、大きな連鎖反応を起こして来るんだよ。

ね、世の中で一番美しいことは、全ての人に愛情を持つことだ。

いいですか、われわれの幸福は、我々の足元にあるんだ。我々の商人としての生活はそのまま、立派な青年諸君が情熱を傾けるに足る、一生を掛けて悔いの無い、大事な仕事なんです。

若き商人よ、諸君は、一生を貫いて悔いのない、世の中ためになる、世の中に愛情のバラをまくところの立派な仕事をしているのだ。

日本の商業の戦士であるということを自覚して、毎日にもっと情熱と愛情を注ぎ、大きな希望を抱いて、幸福を実現していっていただきたいと思うのです。

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新保先生の情熱と愛情が伝わってくる素晴らしい文章でしょう。

我々商売に携わる人間にとって、「仕事に対する自信と勇気を与えてくださるお話」だったと思います。
 
         株式会社 家具のアウトレット ビッグウッド 杉浦眞悟

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杉浦眞悟
年齢:
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1957/02/03
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自己紹介:
アウトレット家具のチェーン店「ビッグウッド」の代表取締役社長
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